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2020年11月03日
【起業 開業 店舗運営 お役立ち情報】

事業用賃貸借契約書の特約条項について考えてみましょう。

我々不動産業者は、各々が加盟する不動産団体がまとめた標準の賃貸借契約書を利用する

事が多いのですが、その内容は多くの加盟業者の意見を反映して、日々改善されていて、

無駄なく必要十分な条文であると理解して利用しています。

賃貸借契約書には、貸主と借主との約束事が記載されるのですが、読みなれない人からす

ると分かりずらい代物かもしれません。⇒ 事業用賃貸借契約書のチェックポイント

今回は、建物オーナーさんから寄せられた、特約だらけの賃貸借契約書について、日ごろ

私が考えていることを書いてみます。

特約条項だらけの賃貸借契約書。冗長、冗漫な表現になっていませんか?その記載に意味はありますか?

事業用不動産の仲介業務について、ブログで情報を発信していると、思わぬ問い合わせを受けたりします。

先日、神奈川県の貸店舗オーナーさんより、次のようなお問い合わせをいただきました。

法人として所有している貸店舗を飲食出店希望の法人に貸し出すことになりました。

契約の取り交わしを二日後に控えているのだが、借り手側が連れてきた不動産業者の準備

した賃貸借契約書がどうにも腑に落ちなくて悩んでいるとのことです。

解決策を模索する中、インターネット検索をしていたところ、弊社の記事を目にして、

一度意見を聞いてみたいとの思いから、覚悟を決めて連絡をしてくれたとの経緯でした。

オーナーさんに見ていただいた弊社の記事はこちらです。⇒ ロコスト不動産ブログ

尚、今回の件をブログに書かせていただくことは、オーナーさんの了解を得ています。

オーナーさんが、ファックスで弊社へ送ってくれた賃貸借契約書を見てみると、

たまたま、弊社の加盟する全日本不動産協会の書式のものでした。

普段から見慣れた書式なので、すいすいと読み進めていくと、特約条項にたくさんの書き

込みがありました。以下に一部を抜粋してみます。

①建物の内外装の変更は借主の自由とし、解約時の原状回復はないものとする。

②エアコンの設置は貸主が行う(2台)。エアコンメンテナンスは貸主が行う

③以下契約条項の内第5条(共益費)全部抹消、第6条(保証金又は敷金)の内6項一部

抹消、第15条(修繕)全部抹消、第18条(管理規約等の遵守)全部抹消・・・

一方的に借主に都合のいい特約条項です。

オーナーさんが納得いかないのも無理のない事です。

そもそも、団体がまとめた標準契約書の条文を何ヶ所も削除することが気に入りません。

また、削除する箇所が徹底されていないところも素人っぽくていけません。

①を希望するなら、第13条(禁止または制限される行為)3項、及び第14条(内部造作

および設備の新設等)の削除もお願いしないと不十分です。

また、原状回復に含まれる、賃借人が設置したものを取り除く「収去義務」もなしとする

合意であれば、借主は設備、什器、食器類など全てを置いていくことができます。

百歩譲ってエアコン設置は貸主側で取り付けたとしても、事務所利用と違って飲食店での

エアコン利用は汚れの度合いが違います。メンテナンスを貸主側が行うことは過ぎたことです。

③のように、全日本不動産協会が作成した定型の契約条項を何ヶ所も抹消することを求め

る不動産業者は信用なりません。

貸主と借主の権利・義務関係を正しく理解した上で、特約条項を書き足しているのか甚だ疑問です。

ご質問いただいたオーナーさんに以上のような意見をさせていただきましたところ、

オーナーさんも我が意を得たりといったご様子でした。

特約だらけの賃貸借契約書は、冗長、冗漫でスマートではありません。

不動産業者は、標準の条文で事足りていることは、特約で無駄に重複させないように自ら

の頭で考えて契約書を作成するように心がけたいものです。

そして、建物オーナーさん、賃借人さん共に、契約締結時に疑問に思う特約条項があったなら、不動産業者へ率直に、その意味を質問してみましょう。

この記事を書いた人
山端 徳幸 ヤマバタ トクユキ
山端 徳幸
不動産業務に従事して、23年になります。
不動産にかかわるお困り事は千差万別です。 セカンドオピニオンを求める先として、皆様のお力になることができれば幸いです。
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